
▶飲食レビュー













■お味について
煮込んでいるとなかなか良い香りが漂ってきます。
いわゆる本格的なインドカレーのようなガツンと鼻を突き抜ける野生的なスパイスの香りとは少し違うのですが
日本の伝統的な美味しい街のカレー屋さんを彷彿とさせる非常に食欲をそそる芳醇なア香りがしっかりと感じられます。
器に盛ってみると思ったよりも結構強めのとろみがついている印象ですが実際のところはどうでしょうか。
さっそくいただいてみます。
見た目のもったりとしたとろみ感の割には口当たりが思った以上にもの凄くさっぱりとしたカレーですね。
洋風のデミグラス的な重さはなくてどこか和風の出汁感を優しく感じるような味わいの構成になっています。
このカレーは全体的に塩気がキリッと効いたしょっぱい系の味付けに加え結構なとろみがついているので
強いとろみと塩気と出汁の旨味という要素が組み合わさることでまるで老舗のお蕎麦屋さんで食べるあの和風カレーや出汁をたっぷりと効かせた和風のカレー丼を食べているかのような感覚に近い仕上がりになってます。
欧風カレーのようなチャツネ系の甘みはほとんどないのですがその分塩気としょっぱさの輪郭がはっきりしていてこれはこれで非常に美味しいです。
ただ辛さに関してはどうなのかと言われると全然辛くはありませんね。
いわゆる一般的な辛口カレーが持っているような唐辛子系のヒーヒーするような強い辛みは一切ないですね。
その代わりに非常に面白いスパイシーさを持っています。
一口食べた瞬間は気づきにくいのですが意識を集中してよく研ぎ澄ましてみると、
舌の先に黒胡椒系のピリピリとした繊細なスパイス感を確かに感じるんですよね。
唐辛子のトゲトゲしい主張がないため非常に自然な形で口の中にスパイスの風味がじわっと広がっていきますのでまさに大人の出汁カレーといったテイストですね。
カレーとしての旨味はしっかりとベースにありますし食べ進めるほどに確かにこれは計算されたスパイシーさだなと納得させられます。
味のベースはしっかり濃いめにつけられているのでこういう方向性の食べ物だと思えば十分に美味しいのです。
ただ正直な感想としては誰もが思い浮かべるザ・王道のあの黄色いカレー粉特有のこれぞ王道のカレーライスですというパンチというか、
お馴染みのカレー感が一歩後ろに下がっている印象を受けるので昔ながらの家カレーを期待して食べると最初は少しだけ物足りなさを覚えてしまうかもしれないなというのは正直あります。
ですがこれを洋風カレーではなく上品で高級感のある洗練された和風出汁カレーという風に脳内をシフトして捉えれば
この絶妙な塩気と出汁の旨味そして香りのバランスにも納得がいきますね。
しかも面白いのがこのスパイスの効き方です。
食べている最中はそこまで辛さを感じないのにスプーンを進めていくうちにスパイスの成分が口の中にどんどん蓄積されていく感覚があるんですよね。
中盤から後半にかけて体の芯からじゅんわりと温まってくるような時間差で効いてくる心地よいスパイシーさがあります。
こういった一口目のインパクト勝負ではなく後半にかけてじわじわと完成するという特性をしっかり理解して食べればもの凄くクオリティが高くて面白いカレーだと思います。
見た目ほどもたっと胃に溜まらないので油分が強くて重いカレーが苦手な大人の人にはこのさっぱり感はベストマッチするはずです。
従来のハウス食品の定番ラインとは一線を画すかなり個性的な立ち位置のカレーですが最近のスパイスカレーの流行や出汁ブームのトレンドを上手くキャッチしているなと感じます。
好みが分かれる部分はあるかもしれませんがこの出汁感と蓄積型スパイスの魅力がハマる人にはトコトン深く刺さるポテンシャルを秘めた一杯だと思います。
美味しかったです。



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